「老子の智慧」
老子について書かれた本はずいぶん読んできたが、
改めて
田口佳史(よしふみ)氏の
「ビジネスリーダーのための老子道徳経講義」を読んでいる。
孔子の考えをずっと学んできて、
老子に出会ってから衝撃を受けた。
孔子の考えは捨てようとさえ考えたことを思い出す。
この著書は
今まで読んだ老子本とは全く違った印象。
言葉一つ一つが厳選されているからかと感じる。
その中から一つ紹介。
「還淳第十九」には
聖を絶ち智を棄つれば、民利(みんり)百倍す。
仁を絶ち義を棄つれば、民(たみ)孝慈(こうじ)に復(ふく)す。
巧を絶ち理を棄つれば、盗賊(とうぞく)有る無し。
とある。
著者の解説はこんな感じ。
聖人になれ、智恵者になれと言われ続けると、逆を目指すようになる。
仁だ義だと強く要求するより、良心を発揮させた方が親孝行の情は生まれやすい。
技巧や利益を唯一最大の功績と賛美しすぎると、そこまでの力がない人は他人の物を盗んで帳尻を合わせようとする。
現代のことのようだ。
聖人君子でない役職者は辞任させられる。
道徳心のない人を徹底的に叩くことは悪くない。
仕事では利益を問われ、要領よくできるかどうかが評価基準になる。
前回のブログとも通じる
japan-energy-lab.hatenablog.com
老子は具体的な実行目標として
「見素抱朴(けんそほうぼく)・少私寡欲(しょうしかよく)」
見栄、見てくれ、外聞などの外の評価を一切気にせず素朴、朴訥を旨として飾らず自分をそのまま表し、私欲私情を少なくして生きよ
できそうでできないことだ。
人に求めることではないから、自分はやってみよう。
翻って、
3つの「・・を絶ち・・棄つれば、」云々は私自身を省みさせられる。
うまくいかなかった過去は、この言葉どおりだったから。